債務整理における弁護士と司法書士の違い。弁護士がいい3つのケース
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グリングリン
借金で困ったとき、債務整理を依頼できるのは「認定司法書士」と「弁護士」だよね?
どっちに頼めばいいの? なにか違いがあるの?
司法書士・辻本
司法書士も弁護士も「法律の力」を使って依頼者をサポートする専門家ですが、対応できる範囲に差があります。
今回は、債務整理における司法書士と弁護士の違い、弁護士に債務整理を依頼したほうがいい3つのケースについて、わかりやすく解説します。
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もくじ
債務整理における、司法書士と弁護士の違い
・任意整理を依頼する場合、弁護士と司法書士でどう違うか
・自己破産を依頼する場合、弁護士と司法書士でどう違うか
・個人再生を依頼する場合、弁護士と司法書士でどう違うか
・債務整理中に過払い金請求を行う場合、弁護士と司法書士でどう違うか
債務整理を司法書士に依頼するメリット
債務整理を弁護士に依頼したほうがいい3つのケース
債務整理における、司法書士と弁護士の違い
債務整理における司法書士と弁護士の違いは、対応できる範囲の差となっています。
手続きごとに、司法書士と弁護士で対応できる範囲について見ていきましょう。
任意整理を依頼する場合、弁護士と司法書士でどう違うか
任意整理とは、債権者である貸金業者との裁判外での減額交渉にて、借金の返済負担を軽減させる手続きです。
手続き後にかかる利息や手数料といった支払いをカットし、借入元金のみを毎月無理のない金額で返済して、3~5年程度での完済を目指します。
手続きのデメリットも少なく、利用条件なども特にないことから、債務整理の中では最も利用しやすいです。
【関連記事】任意整理とは?デメリットやメリットを漫画でわかりやすく説明
司法書士の場合
1社あたりの債務額が140万円を超えている債権者との間に介入できません。
※利息や遅延損害金は含まない
司法書士・辻本
あくまでも「1社あたり140万円」なので、いくつかの貸金業者からの借金を合計して140万円を超えても、それぞれ140万円以下なら対応可能です。
弁護士の場合
債務額に制限なく介入できます。
また、任意整理でもごくまれに裁判に発展するケースがあります。
和解までに時間がかかり、貸金業者側から裁判を起こされた場合「1社あたり140万円以下の事件」かつ「簡易裁判所での第1審」であれば、司法書士でも対応可能です。
ただし、相手方から控訴されて地方裁判所や高等裁判所に移行する場合は弁護士でなければ対応できません。
司法書士・辻本
任意整理は基本的に話し合い(交渉)で解決するので、裁判になるケースはとても珍しいです。
「起訴されてしまうか不安」という方は、当事務所(司法書士法人 みどり法務事務所)にご相談ください。
自己破産を依頼する場合、弁護士と司法書士でどう違うか
自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、裁判官から免責決定を出してもらう手続きです。
免責決定を得ることができれば、借金の返済義務がすべて免除されます。
債務整理の中ではもっともメリットが大きい反面、デメリットも大きいのが特徴です。
たとえば、手続きの中で保有財産の一部が処分されてしまうため、自宅といった高価な財産を維持したまま免責決定を得ることはできません。
その他にも、手続き中は資格や職業、引っ越しや遠方への旅行など、生活面で多少の制限が加えられることになります。
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司法書士の場合
裁判所での申立代理人になれず、書類作成のみのサポートとなります。
※書類作成のみなので、1社あたりの債務額が140万円を超えていても対応可能
司法書士・辻本
司法書士に自己破産を依頼された場合、書類を作成し受け答えなどをサポートして、本人が申し立てを行います。
ただし、最初は本人(お客さま)が直接裁判所に行くのではなく、実際は司法書士が裁判所に書類を提出し、裁判所とやり取りします。裁判所からの書類も、ご自宅ではなく司法書士事務所に届きます。
裁判官との面談と免責審尋(めんせきしんじん)という手続きで、本人が2回裁判所に行く必要があります(同時廃止の場合。地域によっては1回で済む場合もある)。
※管財事件の場合は債権者集会に参加する必要がある
司法書士・辻本
免責審尋は、本人確認をしたり、住所や氏名に変更がないか聞かれるぐらいで数分で終わります。
司法書士が免責審尋や債権者集会の期日に同行することも可能です。
弁護士の場合
本人の申立代理人として制限なく手続きに介入できます。
裁判所とのやり取りなどもすべて任せられます。
免責審尋や債権者集会には、本人に同行して意見を述べることもできます。
※ただし、本人も出席する必要がある
個人再生を依頼する場合、弁護士と司法書士でどう違うか
個人再生とは、裁判所に認可してもらった再生計画を遂行し、借金の完済を目指す手続きです。
再生計画による返済額は、申立人の財産状況や借金総額などから決定されます。
具体的には、借金は最大10分の1程度まで減額され、返済期間も原則3年(事情次第で5年)となるため、返済負担を大きく減らせるのが特徴です。
また、自己破産と違って保有財産が処分されることはありません。
ほかにも、現在住宅ローンを支払っている方は、住宅を維持しながらその他の借金を減額させられる、住宅資金特別条項を利用することができます。
【関連記事】個人再生とは?
【関連記事】任意整理と個人再生の違い
司法書士の場合
裁判所での申立代理人になれず、書面作成のみのサポートとなります。
※書類作成のみなので、1社あたりの債務額が140万円を超えていても対応可能
司法書士・辻本
司法書士に個人再生を依頼された場合、書類を作成し受け答えなどをサポートして、本人が申し立てを行います。
ただし、個人再生の場合は裁判所に行く機会は基本的にありません。
弁護士の場合
本人の申立代理人として制限なく手続きに介入できます。
裁判所とのやり取りなどもすべて任せられます。
グリングリン
司法書士さんは、自己破産や個人再生の場合、書類をつくったり相談には乗ってくれるけど代理人になれないんだね。
債務整理と一緒に過払い金請求を行う場合、弁護士と司法書士でどう違うか
また、債務整理の手続き中に過払い金が発生していることが判明した場合、過払い金請求を同時に行うことがあります。
【関連記事】債務整理でも、過払い金を取り戻せる
司法書士の場合
1社あたりの過払い金額が140万円を超えている貸金業者との間に介入できません。
弁護士の場合
過払い金額に制限なく介入できます。
【関連記事】過払い金請求は司法書士と弁護士のどちらに依頼すべき?
グリングリン
なにかと弁護士のほうが対応できる範囲が広いんだね。
それなら、みんな弁護士に依頼すればいいんじゃない?
債務整理を司法書士に依頼するメリット
弁護士に比べると代理権の幅が狭いものの、司法書士に頼むと「費用を抑えられる」というメリットがあります。
司法書士事務所は、弁護士事務所より費用を低めに設定しているケースが多いです。
※すべての司法書士事務所が弁護士事務所より安いというわけではないので、対応できる範囲と費用は事前に確認するとよい
【関連記事】債務整理の費用相場はいくら?安くする方法も紹介
司法書士・辻本
司法書士は自己破産や個人再生で申立代理人にはなれないものの、書類作成や裁判所とのやり取りをサポートしたり、アドバイスを行うことは可能です。
下記の場合は、司法書士に依頼しても業務内容に大きな差はありません。
・任意整理で解決できそうな場合
→ 借金の元金だけなら3~5年の分割払いで完済できる場合
・自己破産の破産手続きが同時廃止の場合
→ 清算する財産がない場合、免責不許可事由の疑いがない場合など
司法書士・辻本
ここからは、債務整理を弁護士に依頼した方がいい3つのケースを紹介します。
債務整理を弁護士に依頼したほうがいい3つのケース
1.1社あたりの債務額が140万円を超えている
債務額が140万円を超えている貸金業者が1社でもあれば、弁護士に依頼してしまったほうが時間も手間もかかりません。
とはいえ、この140万円の中には、遅延損害金や利息は含まれないため、任意整理においてはそこまで厳しい制限にはなっていません。
もし、140万円を超えている貸金業者がないのであれば、実績や経験、費用面などで判断しましょう。
2.1社あたりの過払い金が140万円を超えそう
過払い額が140万円を超えそうな貸金業者が1社でもいれば、弁護士に依頼してしまったほうが時間も手間もかかりません。
140万円を超えそうなほど過払い金が発生するケースは「取引期間が15年以上ある」といった場合に多いです。
また、過払い請求では、貸金業者との裁判に発展するケースもあります。
その場合、認定司法書士であれば、140万円までは裁判の代理人になれます(簡易裁判所での1審のみ)。
司法書士・辻本
過払い金請求訴訟(裁判)を行うには、費用や時間がかかります。
取り戻せる金額と費用のバランスを考慮し、メリットが大きい場合には裁判まで行うことをお勧めしています。
3.個人再生や自己破産を検討している
任意整理では、一般的に貸金業者側からは、長くても5年程度の完済を求められます。
もし、借入元金を60回で割った金額を、毎月の返済額にするのが厳しいという方は、個人再生や自己破産といった手続きを検討しなければなりません。
個人再生や自己破産の場合、弁護士に依頼したほうが多くの時間や手間を削減できます。
司法書士は、書類作成についてはサポートできるものの、裁判官との面接への同席や、破産管財人や個人再生委員とのやり取りなど手続きの多くの部分に関与できません。
一方、弁護士であれば申立代理人としてほとんどを本人に代わって行うことができます。
個人再生や自己破産を検討しているのであれば、弁護士への依頼を推奨します。
また、財産や免責不許可事由にあてはまって自己破産の手続きが「管財事件」になる場合、裁判所に予納金という費用を払う必要があります。
弁護士が代理人になっていると、少額管財といって管財事件より低い予納金で手続きできます。
司法書士・辻本
清算できそうな財産がある場合や、ギャンブルや投資、浪費などで借金をした場合(免責不許可事由にあてはまりそうな場合)は管財事件になる可能性があります。そういった場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。
債務整理を依頼する弁護士の探し方
債務整理を依頼する弁護士を探したい場合、事務所名で判断することができます。
「法”律”事務所」と名乗ることができるのは、弁護士がいる事務所のみとなっています。
それ以外の司法書士や行政書士といった士業は、法律事務所と名乗ることができず、「法”務”事務所」と名乗ることが多くなっています。
ただし、弁護士だからといって債務整理において優秀というわけではありません。
依頼を検討する際は、経験や実績の豊富さ、費用面の比較などから判断しましょう。
司法書士・辻本
ホームページで事例を確認したり、面談や相談の際に、直接実績を聞くのもいいと思います。
また、債務整理の場合は無料相談を実施している事務所がほとんどであるため、その際の対応の迅速さや丁寧さなども判断材料にするのが良いでしょう。
グリングリン
法律家だからって威張ってないで、話しやすかったり、説明がわかりやすい人に頼むのがいいよね。
当事務所(司法書士法人 みどり法務事務所)は、法務大臣の認定を受けた認定司法書士が在籍し、借金の無料相談を行っています。
2013年の設立以来、債務整理や過払い金請求の業務を中心に行い、毎月500件以上の相談を受けています。
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