任意整理後や条件変更後でも過払い金請求はできるのか？

ねーねー、辻本さん。
任意整理の手続き後や貸金業者に掛け合って返済の条件を変えてもらった場合でも過払い金請求ってできるの？

弁護士や司法書士を通して任意整理をした場合はできないことが多いですね。

どうしてなの？

それでは、今回は、任意整理後に過払い金請求はできるのか、ご説明しましょう。

任意整理の依頼を受けた司法書士や弁護士は、まず業者から取引履歴を取り寄せて引き直し計算を行います。引き直し計算は覚えていますか？

本来とられるべき利息（利息制限法）で計算し直すことでしょ？

その通りです。引き直し計算後、借金が残る場合は、今まで取られていた利息が免除され、総額○○円を月々○○円で支払う、といった内容の書面を交わし、新たに返済計画を組み直す形が一般的です。

なるほど！ 任意整理の手続きの過程で、過払い金も精算されるのか。

弁護士や司法書士を通さずに自分で貸金業者に返済の条件を変更してもらった場合はどうなるの？

返済が苦しくなったときに、貸金業者に相談し、利率を下げてもらったり、毎月の返済額を減らしてもらったりと、債務者にとって有利な条件に変更してもらうことがあります。この条件変更の際に、貸金業者と「債権債務なし」という文言が入った書類を取り交わすことが多いです。

債権債務なし？？

債権債務なしとは、債務者も貸金業者も、和解書などに記載されていること以外の権利は主張できないということです。

相手に何かを請求する権利も、相手から請求を受ける義務もないということ？

そういうことですね。このような取り決めを結ぶと、今後は、過払い金請求ができない可能性が高いです。

せっかく有利な条件に変更してあげたのに、あとから過払い金を請求してくるなんて納得できない、という貸金業者側の気持ちも理解できるかも。しかも、書面で権利義務関係がないことを約束していたらなおさらだよね。

でもグリングリン、当事者の気持ちになって考えてみてください。
もともと適正な利率で取引していたら支払う必要のない借金だった、という主張は出てきませんか？

過払い金があるってことは、とっくの昔に借金が払い終わっていたってことだもんね。

業者と折り合いがつかない場合、過払い金はどうなっちゃうの？

裁判で争うことになります。

出た！ 裁判！！
裁判と聞くと、なんだか気が引けちゃうんだよな……

たしかに裁判と聞くと大変なことのように感じるかもしれませんが、お客さまが裁判所に出向くことはなく、ほとんどのケースで我々司法書士がお客さまの代わりに裁判所に足を運ぶことになります。

ご自身で条件変更や任意整理を行う際に注意していただきたいことがあります。

それは願ったり叶ったりじゃん！

これが過払い金が発生していない取引ならいいのですが、引き直し計算後に借金がなくなり、さらに過払い金が発生する契約だとすると要注意です。

えーっ！ そんなことがあるの！？

和解書の文言が、「債権債務なし」であれば、裁判になった際に過払い金が認められる可能性は高いですが、「過払い金を含んだ債権債務なし」の場合、かなり不利になってしまいます。

自分で条件変更や任意整理を行う場合、そういうリスクもあるんだね。

任意整理後や条件変更後に過払い金請求はできるのかご説明しました。

いろいろなケースがあって、自分では判断するのが難しそう……
過払い金請求ができてもできなくても、やっぱり一度、弁護士や司法書士に相談したほうがスムーズに事が進んで安心できそうだね。

そうですね。当時、取り交わした書面の中身や、業者によっても対応はさまざまですからね。

それに、みどり法務事務所に依頼していただければ、裁判になった際も私たち司法書士がお客さまの代わりに裁判所に足を運びますので安心だと思います。