過払い金の時効期限を徹底解説!請求のタイミングを逃すな
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過払い金という言葉を聞いたことがあるでしょうか。もしあなたが過去に消費者金融やクレジットカードから借金をしたことがあるなら、過払い金を請求できる可能性があります。
過払い金とは、簡単に言えば、あなたが借金の返済として支払った利息のうち、法律で定められた上限金利を超えて支払った分のことを指します。この過払い金は、あなたが請求することで返還してもらうことができるのです。
しかし、過払い金請求には時効があるため、請求できる期間が限られています。もし時効が完成してしまうと、せっかくの過払い金も請求できなくなってしまうかもしれません。
そこで、この記事では、過払い金請求における時効について詳しく解説します。時効期間や時効の中断・停止、請求の手順など、過払い金請求に関する重要な情報をわかりやすくお伝えします。
もしあなたが過払い金請求を考えているなら、この記事は必見です。過払い金という自分の権利を守るために、ぜひこの記事を参考にしてください。
【関連記事】過払い金とは?発生条件や請求方法、対象期間や注意点を解説
ただし、2020年4月1日以降に最後の取引を行った場合、過払い金の調査などを行うと「過払い金請求できることを知った日から5年」になるという考え方もあります。
10年以上前の借金でも、過払い金を取り戻せる可能性があります。過払い金の時効は、借金を開始した日ではなく、完済した日や最後に返済・借入をした日からカウントされます。
基本的に、過払い金の時効は「最後に取引した日」から10年です。つまり、現在返済中で一度も完済したことがない方は、返済が終わらない限り時効を気にする必要はありません。
また、10年以上前に一度完済した方でも、そのあと同じ業者からお金を借りたことがあれば、時効が伸びて過払い金請求ができる可能性があります。
しかし、過払い金請求には期限があります。特に、2007年までに消費者金融やクレジットカードのキャッシング機能などでお金を借りたことがある人は、早めに過払い金の有無を調べて、請求することをおすすめします。
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もくじ
過払い金の時効(消滅時効)とは?
・過払い金の時効は「10年」か「5年」か
完済から10年以上経っても、過払い金を取り戻せる可能性がある
・過払い金の時効の争点「一連」と「分断」とは
・貸金業者が不法行為をしていたら、時効が伸びる
過払い金の時効を中断する(時効完成を防ぐ)方法
まとめ
過払い金の時効(消滅時効)とは?
貸金業者に法律で定められた上限を超えて支払った利息、つまり過払い金は、請求手続きをすることで返金してもらえます。
ただし、過払い金には時効があります。時効が1日でも過ぎてしまうと、過払い金を取り戻すことができなくなってしまいます。
法律用語では、これを「過払い金請求権の消滅時効」と呼びます。
また、時効のカウントが始まる日のことを「起算点(起算日)」と言います。
過払い金の時効は「10年」か「5年」か
過払い金の時効は、以下の通りです。
2020年4月1日より前に、最後の取引を行った場合
過払い金の時効は、最後の取引から10年。
最後の取引とは、完済や返済、借入のいずれかです。
例:1999年8月1日に借入を行い、2005年12月31日に完済した場合、時効は2015年12月31日の24時
また、2020年4月1日の民法改正により、過払い金の時効に「債権者が権利を行使することができることを知ってから5年間」という規定が加わりました。
2020年4月1日以降に、最後の取引を行った場合
過払い金の時効は「最後の取引から10年」または「過払い金請求できる権利があることを知った日から5年」のうち、いずれか早いほう。
最後の取引とは、完済や返済、借入のいずれかです。
例:1999年8月1日に借入を行い、2020年12月31日に完済した場合、時効は2030年12月31日24時
ただし、完済後(2021年1月31日に)貸金業者から取引履歴を取り寄せたり、過払い金返還請求書を送付した場合は、2026年1月31日24時になる可能性がある
いつ完済したか(2020年4月1日以降か)によって、過払い金請求の時効のカウント方法が変わります。
「過払い金請求できる権利があることを知った日」とはどういう意味か説明します。
過払い金請求できる権利があることを知った日から5年とは?
貸金業者に取引履歴を取り寄せたり、過払い金返還請求書を送付すると、「過払い金請求権が発生していることを知っている」とみなされます。貸金業者から過払い金について伝えられた場合も同様です。
過払い金を取り戻すアクションを起こすと、その日から5年と時効がカウントされます。
過払い金があるか調べるために自分で取引履歴を請求したものの、過払い金請求せずにそのままにしていた人は、時効が5年になる可能性があります。
ただし、司法書士や弁護士が行っている「過払い金の無料診断」など、過払い金の有無を確認しただけでは(取引履歴を取り寄せて調査や計算を行い、過払い金請求書を送付しなければ)、起算点としてカウントされません。
2020年4月1日以降に完済した人については、最終的には裁判所の判断によりますが、「完済から5年で時効」とみなされる可能性もあるため、早めに請求手続きを行うことをおすすめします。
司法書士法人 みどり法務事務所では、電話やメール、LINEで「過払い金の相談や確認」を受け付けています。また、過払い金の計算・調査まで無料で利用できますので、気軽にお問い合わせください。
完済から10年以上経っても、過払い金を取り戻せる可能性がある
過払い金の時効の争点「一連」と「分断」とは
10年以上前に一度完済していても、同じ貸金業者から再びお金を借りた場合、過払い金請求ができることがあります。
1回目の借金と2回目の借金(複数の取引)が「同一の取引」と認められると、時効は「2回目の完済日」を起算点としてカウントできるケースがあるのです。過払い金請求において、よく争点となるのが「一連」と「分断」です。
1回目の借金
1999年 8月1日 借入
2002年 7月31日 完済
2回目の借金
2003年 8月1日 借入
2014年 8月1日 完済
上記のふたつ取引の取引をどう捉えるかで、過払い金の金額が大きく変わります。ふたつの取引をひとつの取引とすることを「一連」、別々の取引とすることを「分断」といいます。
1回目の取引と2回目の取引が一連と認められれば(2020年4月1日より前なので)2度目の完済日の10年後が時効となり、ひとつの取引として計算するため、過払い金は大きくなります。
たとえば、クレジットカードのキャッシングは、借入と返済を繰り返すため「一連」と認められるケースが多いです。
一括払いの場合「分断」を主張されることがありますが、裁判を行えば一連の取引と認められる可能性が高いです。
一方、1回目の取引と2回目の取引が分断と判断された場合は、それぞれの最終取引日(完済日など)の10年後または2020年4月1日以降に完済した場合、過払い金請求できると知った日から5年後が時効の成立日となります。
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一度完済しても、再度同じ貸金業者からお金を借りることはよくあります。
貸金業者は、過払い金の返還を避けたいため、「一度完済している場合、その取引はそこで終了しており、次に借りた取引は別のもの」だと主張してくるでしょう。
もし取引が分断されていると判断されると、1回目の取引と2回目の取引では別々に時効が発生することになります。
先の例で見ると、2回目の取引の時効は2023年8月1日なので、過払い金請求が可能です。しかし、1回目の取引は2012年7月31日に時効を迎えているため、過払い金を取り戻すことはできません。
1回目の借金
1999年 8月1日 借入
2002年 7月31日 完済
→【分断】とみなされた場合、2012年7月31日で時効
2回目の借金
2003年 8月1日 借入
2014年 8月1日 完済
→ 2024年8月1日で時効
複数の取引を「連続した取引=一連」とするか「別々の取引=分断」とするかが問題ですが、誰が判断するのでしょう?
複数の取引をひとつとするか、別々とするかは、法律で明確に決まっているわけではありません。
そのため、借り主と貸金業者の主張がまとまらなければ、裁判で争うことになります。
一連か分断か、分かれるポイント
1回目の取引の完済から2回目の取引までの期間が、どれくらいだと分断と判断されるかは、裁判官の考え方やその他の状況にもよるので一概には言えません。
「空白期間の長さ」や「新しい契約時の状況」、「一度完済したとき、取引を終わらせたと認めるような事情があるか」など、さまざまな事情によって判断されます。
分断と判断される可能性が高いケース
・空白期間が1年以上ある
・キャッシングしていたカードを解約している
・貸金業者が貸付業務を廃止して回収だけするようになった場合
また、取引の途中で貸金業者から「貸付停止措置」をとられている場合は、裁判が長引く可能性があります。
信用状況の悪化や借りた当初からの支払い遅延、退職や高齢化、新しい分割和解契約が結ばれたなどで、貸金業者が貸付を止めることを貸付停止措置といいます。
取引の間(空白期間)が、1年未満だと一連と判断されることが多いです。
1回目の取引:過払い金発生 → ただし時効を迎えている
2回目の取引(1年後):グレーゾーン金利撤廃後の過払い金の発生しない取引
上記の場合、貸金業者の主張が認められて分断と判断されると、過払い金は取り戻せないことになります。つまり過払い金はすぐに調べて取り戻した方が良いということになります。
一連か分断かの判断は、期間だけでなく契約内容なども判断材料になることがあります。
期間が過ぎているからといって諦めず、まずはお気軽にご相談ください。
貸金業者が不法行為をしていたら、時効が伸びる
貸金業者が不法行為を行っていた場合、最後の取引から10年または(2020年4月1日以降に完済した場合)過払い金請求できる権利があることを知った日から5年ではなく、過払い金の発生を知った日から3年で時効になります。
・暴力や脅迫を伴う督促をされた
・貸金業者に3人以上で訪問された
・21時~8時の間に電話や訪問をされた
・貸金業者が「過払い金がある」とわかっていながら取り立てを行った
上記の場合、完済から10年以上経っていても取り戻せる可能性があります。また、時効の進行をストップさせる方法もあるので、ご説明します。
過払い金の時効を中断する(時効完成を防ぐ)方法
1.貸金業者に内容証明郵便で「過払い金返還請求書」を送付する
1回限り。6か月間、時効の進行を止められる。
※ただし、取引履歴の開示請求だけでは時効が止まらないので注意
2.過払い金請求の裁判を起こす
裁判所に過払い金請求を申し立てて認められると、時効が一時的に停止し、判決が出ると時効がリセットされます。 ※支払い督促や民事調停の申し立てをしても、時効はリセットされます。詳細は司法書士や弁護士に相談してください。
実際の取引期間は、取引履歴や信用情報を確認しないと正確にはわかりません。 司法書士や弁護士に相談して確認することをおすすめします。
個人で取引履歴を請求すると、後回しにされて時効が近づいてしまう可能性があります。 また、過払い金請求を専門家に依頼して過払い金請求書を送付するまでに数か月かかることがあります。
時効が迫っていると感じる方は、早めに司法書士や弁護士に相談してください。
また、貸金業者が倒産してしまうと、時効を迎えていなくても過払い金を取り戻せなくなってしまいます。
【関連記事】過払い金の手続きはリモート可能|過払い金請求の流れを解説
まとめ
・2020年4月1日より前に最後の取引を行った場合
→ 時効は、最後の取引から10年
・2020年4月1日以降に最後の取引を行った場合
→ 時効は、最後の取引から10年または過払い金請求できる権利があると知った日から5年
※貸金業者に取引履歴を取り寄せたり、過払い金請求書を送付すると「過払い金請求できる権利があると知っている」とみなされる可能性がある
・10年以上前に一度完済した場合でも、同じ業者から借入して「一連」の取引と認められれば過払い金を取り戻せる可能性がある
→ 空白期間のポイントは「1年未満」
・貸金業者から不法行為をされたことがあれば10年以上前に完済したものでも請求できる
→ 時効は、過払い金の発生を知った日から3年になる
・時効を中断したい場合は、過払い金請求書を送るか、裁判を起こす
・現在返済中の方、借入と完済を繰り返している方は過払い金の時効を迎えていない可能性がある
・正確な取引期間は取引履歴や信用情報を確認しないとわからない
→ 時効が気になる方は自己判断せず、すぐに司法書士や弁護士に相談を
【関連記事】過払い金請求のデメリット|ブラックリストに載らないために
2007年以前に消費者金融やクレジットカードでキャッシング経験のある方は、一度過払い金が発生しているか、時効になっていないか調べてみてください。
家族に、借金や過払い金のことを知られずに取り戻すことも可能です。